腕立て伏せは、自宅で簡単にできる効果的な筋トレの一つです。大胸筋や上腕三頭筋などの上半身の筋肉を鍛えることができます。
しかし、腕立て伏せをすると親指の付け根が痛くなるという経験はありませんか?
この記事では、その原因と手首のストレッチで改善する方法をご紹介します。
親指の付け根が痛くなる原因
炎症による親指の付け根の痛みには、以下のような要因が関わることがあります1。手首や親指の関節が炎症を起こすと、親指の付け根で痛みを感じることがあります。この炎症の原因としては、過度な使用、外傷、感染、自己免疫疾患などが考えられます。
腱鞘炎は、手首や親指を動かすための腱が鞘と呼ばれる保護被膜によって覆われています。しかしながら、手首や親指を過度に使用したり、不自然な角度で曲げたりすることで、腱と鞘の間で摩擦が生じ、炎症が引き起こされることがあります。この状態は腱鞘炎と呼ばれ、親指の付け根から手首にかけて走る腱(母指長伸筋)に特に起こることがあり、この場合はデ・ケルバン腱鞘炎として知られています2。
関節リウマチは、自己免疫系の異常によって関節に慢性的な炎症が発生する疾患です。この疾患は手首や指の関節に多く影響を及ぼし、親指の付け根も影響を受けることがあります3。
感染性関節炎は、細菌やウイルスなどの微生物が血液や外傷を通じて関節内に侵入し感染を引き起こすことで発症します。感染性関節炎はあらゆる関節で発症する可能性がありますが、手首や指の関節でも比較的頻繁に発生します4。
関節や親指の関節に変形が生じると、親指の付け根で痛みを感じることがあります。変形は加齢や外傷、遺伝的な要因によって引き起こされることがあります。変形による親指の付け根の痛みには、以下のような疾患が存在します1。
変形性関節症は、関節を覆う軟骨の摩耗により、骨同士が直接接触することで炎症が生じる疾患です。変形性関節症は加齢や外傷によって関節に負担がかかることで発症しやすくなります。手首や指の関節でもこの疾患が発生する可能性があります5。
母指CM関節症は、親指の付け根にある母指CM関節(親指球と手首を繋ぐ関節)で変形性関節症が進行することで引き起こされます。母指CM関節症は親指の付け根に痛み、腫れ、変形といった症状を引き起こします。
その他の要因としては、手首や親指の関節で親指の付け根に痛みを引き起こすものがあります。以下にいくつか例を挙げます1。
ガングリオンは、関節や腱鞘から分泌される液体がたまり、膨らみを形成する状態を指します。ガングリオンは手首や指の関節でよく見られ、親指の付け根でも発生することがあります。この状態では、押したり動かしたりすると痛みを感じることがあります。
神経障害は、手首や指の神経が圧迫や損傷によって影響を受けることで引き起こされます。神経障害の結果、手首や指でしびれや痛みを感じることがあります。腕管症候群や尺骨神経障害などがあります。
腕管症候群は手首にある腕管というトンネル内を通る正中神経に圧迫がかかることで引き起こり、手首から中指までの指にしびれや痛みをもたらすことがあります。尺骨神経障害は手首の小指側にある尺骨神経に損傷や圧迫が生じることで発生し、手首から小指までの指にしびれや痛みをもたらすことがあります。
手首のストレッチで改善する方法
親指の付け根で痛みを感じる場合は、まずは医師に相談し、その原因を特定することが重要です。また、日常的に手首のストレッチを行うことで予防や改善に役立つことがあります。以下では、手首を柔らかくするためのストレッチメニューを5つ紹介します。
1. 前腕屈筋のストレッチ
- まっすぐ立ち、両足を肩幅程度に開く
- 右腕を前にまっすぐ伸ばして、手のひらが肩の高さになる場所まで持ち上げる
- 左手で右手の指先を持つ
- 右手の手の甲が外側を向いて、指先が体に近づくよう伸ばしていく
- 右手の肘をまっすぐ伸ばし15~30秒キープ
- 元の姿勢に戻す
- もう片方の手も同じように行う
2. 座って行うストレッチ
- 正座をして座り、両手の手のひらがしっかりと地面についた状態で負荷をかけていくストレッチ
- まずは手のひらを前に向けて地面につける
- そのまま手首を回転させて、手のひらが自分の方に向くようにする
- 手首に適度な圧がかかるように体重をかける
- 15~30秒キープして、元の姿勢に戻す
- 次に手のひらを横に向けて地面につける
- そのまま手首を回転させて、手のひらが上に向くようにする
- 手首に適度な圧がかかるように体重をかける
- 15~30秒キープして、元の姿勢に戻す
3. 椅子を使ったストレッチ
- 椅子に座り、背筋を伸ばす
- 右腕を横に伸ばし、左手で右手首を持つ
- 右手首を内側に曲げて、左手で引っ張るようにする
- 15~30秒キープして、元の姿勢に戻す
- 右腕を横に伸ばし、左手で右手首を持つ
- 右手首を外側に曲げて、左手で引っ張るようにする
- 15~30秒キープして、元の姿勢に戻す
- もう片方の手も同じように行う
4. 手首回し
- まっすぐ立ち、両足を肩幅程度に開く
- 両手を前にまっすぐ伸ばし、指先を合わせる
- 手首をゆっくりと時計回りに回す
- 10回回したら、反時計回りに回す
- 10回回したら、元の姿勢に戻す
5. V字ストレッチ
- まっすぐ立ち、両足を肩幅程度に開く
- 右腕を前にまっすぐ伸ばし、左手で右手首を持つ
- 右手首をV字型に曲げて、左手で引っ張るようにする
- 15~30秒キープして、元の姿勢に戻す
- もう片方の手も同じように行う
まとめ
腕立て伏せは効果的な筋トレですが、親指の付け根が痛くなることもあります。その原因は、手首の角度が不適切だったり、手首に負荷がかかりすぎたりすることや、母指CM関節症という関節症だったりします。
日常的に手首のストレッチを行うことで予防や改善ができます。前腕屈筋のストレッチや座って行うストレッチなど簡単なストレッチメニューをご紹介しました。腕立て伏せだけでなく、パソコンやスマホなどで手首や親指を使う機会が多い現代人にとって、手首のケアは大切です。
親指の付け根に痛みを感じたら、無理をせずに医師に相談しましょう。手首のストレッチで健康な手首を保ちましょう!