腕立て伏せは、主に上半身の筋肉である胸、腕、肩を鍛えるエクササイズですが、そのメリットはそれだけではありません。
この動作は多関節運動に分類され、背筋や腹筋といった体幹の筋肉も使います。そのため、姿勢やバランスの改善にも寄与し、スポーツにおける運動能力向上にも効果的です。
また、腕立て伏せは血流を良くすることで、老廃物の排出や血糖値の低下といった健康効果も期待されます。
それでは、腕立て伏せを効果的に行う方法は何でしょうか?ここでは、腕立て伏せの適切なやり方やコツ、バリエーション豊かなトレーニングメニューについて紹介します。
腕立て伏せの適切なやり方とコツ
まず、基本的な腕立て伏せの適切な方法を見てみましょう。以下の手順に従って行ってください。
- うつ伏せの姿勢から、両手を肩の位置より少し広めに置き、足は肩幅程度に位置する。
- 頭からかかとまでの一直線の姿勢を保ち、視線は床の前方を見る。
- 脇を閉じて胸を地面から「ひとつの拳分」程度まで下ろす。
- 下まで下がったら、力を込めて元の位置に戻る。
- この動作を15回繰り返す。
- 30秒間休憩する。
- 残りの2セットを行う。
この方法に従うと、腕立て伏せの目安は合計で15回×3セットとなります。効果を最大限に引き出すためには、セット間に適切な休憩をとることが大切です。
さらに、次のコツも意識すると良いです。
- 背中を過度に反らせたり、お尻を浮かせたりしないように注意する。
- 下ろす際はゆっくり、上げる際は力強く動作する。
- 呼吸を止めないようにする。
- 左右の動きを対称にしてバランスよく行う。
- 手のひらではなく、手首で地面を押すようなイメージで行う。
これらのコツを意識して行うことで、腕立て伏せによる筋肉の負荷を適切にかけ、効果的な筋肥大を促すことができます。
腕立て伏せバリエーション豊かなトレーニングメニュー10種類
以下に、通常の腕立て伏せ以外の10種類のトレーニングメニューを紹介します。
これらのバリエーションを組み合わせることで、異なる部位への負荷を変化させることができます。
スロープッシュアップ
スロープッシュアップは、ゆっくりと行う腕立て伏せのバリエーションです。ゆっくりと動作することにより、大胸筋への効果を高め、筋肥大を促すことができます。
スロープッシュアップの手順は以下の通りです。
- 通常のプッシュアップ姿勢をとる。
- 肘を曲げながら、ゆっくりと体を下げていく。
- 胸が地面に近づくまで5秒かけて下げる。
- 胸が下がったら、一気に上に戻る。
- これを10回繰り返す。
- 30秒の休憩を取る。
- 残りの2セットも同様に行う。
スロープッシュアップの際に気をつけるべき点は次の通りです。
- 呼吸を止めないようにする。
- 左右の動きを対称に保ち、バランスよく行う。
- 下ろす動作はゆっくり行い、上げる動作は力強く行う。
ワイドプッシュアップ
ワイドプッシュアップは、手を広く置いて行う腕立て伏せのバリエーションです。手幅を広げることで、大胸筋の外側を重点的に鍛えることができます。
ワイドプッシュアップの手順は以下の通りです。
- 通常のプッシュアップ姿勢をとる。
- 両手を肩幅の1.5倍の広さに広げ、足は肩幅程度に位置する。
- 胸が地面に向かって「ひとつの拳分」程度まで下げる。
- 下まで下がったら、力を込めて元の位置に戻る。
- これを15回繰り返す。
- 30秒の休憩を取る。
- 残りの2セットも同様に行う。
ワイドプッシュアップの際に気をつけるべき点は次の通りです。
- 背中を反らしすぎないように注意する。
- 呼吸を止めないようにする。
- 左右の動きを対称に保ち、バランスよく行う。
ナロープッシュアップ
ナロープッシュアップは、手を狭く置いて行う腕立て伏せのバリエーションです。手幅を狭めることで、大胸筋の内側や上腕三頭筋を重点的に鍛えることができます。
ナロープッシュアップの手順は以下の通りです。
- 通常のプッシュアップ姿勢をとる。
- 両手を肩幅よりも狭くし、足は肩幅程度に位置する。
- 胸が地面に向かって「ひとつの拳分」程度まで下げる。
- 下まで下がったら、力を込めて元の位置に戻る。
- これを15回繰り返す。
- 30秒の休憩を取る。
- 残りの2セットも同様に行う。
ナロープッシュアップの際に気をつけるべき点は次の通りです。
- 背中を反らしすぎないように注意する。
- 呼吸を止めないようにする。
- 左右の動きを対称に保ち、バランスよく行う。
- 手首が肩幅よりも内側に来るようにする。
インクラインプッシュアップ
インクラインプッシュアップは、手を高い位置に置いて行う腕立て伏せのバリエーションです。手を高くすることで、胸の上部や三角筋に焦点を当てることができます。特に初心者に向いています。
インクラインプッシュアップの手順は以下の通りです。
- 通常のプッシュアップ姿勢をとる。
- 両手を肩幅よりも少し広めに、ベンチや椅子などの高い位置に置く。
- 胸が地面に向かって「ひとつの拳分」程度まで下げる。
- 下まで下がったら、力を込めて元の位置に戻る。
- これを15回繰り返す。
- 30秒の休憩を取る。
- 残りの2セットも同様に行う。
インクラインプッシュアップの際に気をつけるべき点は次の通りです。
- 背中を反らしすぎないように注意する。
- 呼吸を止めないようにする。
- 左右の動きを対称に保ち、バランスよく行う。
デクラインプッシュアップ
デクラインプッシュアップは、足を高い位置に置いて行う腕立て伏せのバリエーションです。足を高くすることで、胸の下部や上腕二頭筋に焦点を当てることができます。中級者以上向けです。
デクラインプッシュアップの手順は以下の通りです。
- 通常のプッシュアップ姿勢をとる。
- 両足を肩幅程度の高さに位置するものに置く。
- 胸が地面に向かって「ひとつの拳分」程度まで下げる。
- 下まで下がったら、力を込めて元の位置に戻る。
- これを15回繰り返す。
- 30秒の休憩を取る。
- 残りの2セットも同様に行う。
デクラインプッシュアップの際に気をつけるべき点は次の通りです。
- 背中を反らしすぎないように注意する。
- 呼吸を止めないようにする。
- 左右の動きを対称に保ち、バランスよく行う。
以上のバリエーションを取り入れることで、腕立て伏せのトレーニングがより効果的になるでしょう。新しい刺激を加えて、異なる部位を鍛えることをお勧めします。
ワンハンドプッシュアップ
ワンハンドプッシュアップは、片手で行うプッシュアップのトレーニングです。片手を使うことで、大胸筋や上腕三頭筋に強い負荷をかけ、筋力と筋肥大の効果を高めることができます。
また、体幹を使用するため、姿勢やバランス感覚も向上させることができます。ワンハンドプッシュアップは非常に難易度が高いため、上級者向けのトレーニングと言えます。
ワンハンドプッシュアップの方法は以下の通りです。
- うつ伏せの状態で右手を肩の位置より下に置き、左手は背中に回す。
- 足は肩幅より少し広い位置に配置する。
- 頭からかかとまでの一直線の姿勢を保ち、視線は床の斜め前を見る。
- 脇を開かないように注意しつつ、胸を地面から「ひとつの拳分」よりも深く下げる。
- 下まで下がったら、一気に元の位置に戻る。
- この動作を5回繰り返したら、反対の手を使って同じことを行う。
- 30秒間の休憩を取る。
- 残りの2セットも同様に行う。
ワンハンドプッシュアップの注意点は次の通りです。
- 背中を反らしすぎないようにする。
- 呼吸を止めないようにする。
- 左右の動きを対称に保ち、バランスよく行う。
- 体が傾かないようにする。
プライオメトリックプッシュアップ
プライオメトリックプッシュアップは、プッシュアップの際に手を浮かせて跳ね上げることで、筋肉の爆発力と反応速度を向上させるトレーニングです。
このトレーニングにより、スポーツで必要なパワーやスピードを向上させることができます。
また、心肺機能や代謝も高まります。プライオメトリックプッシュアップは通常の腕立て伏せよりも負荷が高いため、中級者以上におすすめです。
プライオメトリックプッシュアップの方法は以下の通りです。
- 通常のプッシュアップの姿勢を作る。
- 脇を開かないように注意しつつ、胸を地面から「ひとつの拳分」よりも深く下げる。
- 下まで下がったら、力を込めて手を浮かせて跳ね上げる。
- 手が地面から離れたら、再び着地の準備をする。
- この動作を10回繰り返す。
- 30秒間の休憩を取る。
- 残りの2セットも同様に行う。
プライオメトリックプッシュアップの注意点は次の通りです。
- 背中を反らしすぎないようにする。
- 呼吸を止めないようにする。
- 左右の動きを対称に保ち、バランスよく行う。
- 手を浮かせる際は力強く行う。
- 手が地面に着く際は柔らかく着地する。
プッシュアップバーを用いた腕立て伏せ
プッシュアップバーを取り入れた腕立て伏せは、手に持つ棒状の器具を利用してプッシュアップを行うトレーニングです。プッシュアップバーの使用により、手首への負担を軽減し、胸をより深くまで下げることができます。これにより、大胸筋や上腕三頭筋への刺激が強化され、筋肥大の効果が向上します。
プッシュアップバーを利用した腕立て伏せの手順は以下の通りです。
- プッシュアップバーを双手に握り、肩幅より少し広めの位置に配置します。
- 足は肩幅よりも少し狭い幅で配置します。
- 頭からかかとまで一直線の姿勢を保ち、視線は床の斜め前を見続けます。
- 脇が広がらないように留意しながら、胸を地面から「拳1つ分」よりも深くまで下げます。
- 下まで下げたら、一気に元の位置に戻ります。
- これを15回繰り返します。
- 30秒間休憩します。
- 残りの2セットも同様に行います。
プッシュアップバーを使用した腕立て伏せのポイントは以下の通りです。
- 背中を過度に反らせたり、お尻を浮かせたりしないようにします。
- 呼吸を止めないように心掛けます。
- 左右の動きを均等に保ち、バランス良く動作を行います。
- プッシュアップバーをしっかり握り、安定させます。ダイアモンドプッシュアップ
ダイアモンドプッシュアップは、手の幅を狭めて人差し指と親指でダイヤモンドの形を作ることで、上腕三頭筋や大胸筋の内側に強い負荷をかけるトレーニングです。難易度は高いですが、その分効果も高く、二の腕や胸の谷間を形成するのに役立ちます。
ダイアモンドプッシュアップの手順は以下の通りです。
- うつ伏せの状態から、両手を肩幅よりも狭く寄せ、人差し指と親指でダイヤモンドの形を作ります。
- 足は肩幅よりも少し狭い幅で配置します。
- 頭からかかとまで一直線の姿勢を保ち、視線は床の斜め前を見続けます。
- 脇が広がらないように留意しながら、胸を地面から「拳1つ分」の位置まで下げます。
- 下まで下げたら、一気に元の位置に戻ります。
- これを10回繰り返します。
- 30秒間休憩します。
- 残りの2セットも同様に行います。
ダイアモンドプッシュアップのコツは以下の通りです。
- 背中を過度に反らせたり、お尻を浮かせたりしないようにします。
- 呼吸を止めずに行うようにします。
- 左右の動きを均等に保ち、バランスよく動作を行います。
- 手首が肩よりも内側になるようにします。
サイドプッシュアップ
サイドプッシュアップは、片手でプッシュアップを行いつつ、もう片方の手で体の横にある足首をつかむことで、大胸筋や上腕三頭筋だけでなく、腹斜筋や腰斜筋といった体幹の筋肉にも負荷をかけるトレーニングです。バランス感覚や柔軟性も要求されるため、難易度は高いですが、全身の筋力と安定性を向上させることができます。
サイドプッシュアップの手順は以下の通りです。
- うつ伏せの状態から、片手を使ってプッシュアップを行いながら、もう片方の手で体の横にある足首をつかみます。
- 足は肩幅よりも少し狭い幅で配置します。
- 頭からかかとまで一直線の姿勢を保ち、視線は床の斜め前を見続けます。
- 脇が広がらないように留意しながら、胸を地面から「拳1つ分」の位置まで下げます。
- 下まで下げたら、一気に元の位置に戻ります。
- これを片側で5回繰り返したら、反対側に切り替えて同じ動作を行います。
- 30秒間休憩します。
- 残りの2セットも同様に行います。
サイドプッシュアップのコツは以下の通りです。
- 背中を過度に反らせたり、お尻を浮かせたりしないようにします。
- 呼吸を止めずに行うようにします。
- 左右の動きを均等に保ち、バランスよく動作を行います。
- 足首をしっかりと掴んで、体の横に引き寄せるようにします。
以上が、腕立て伏せのトレーニングメニュー10種類です。これらのトレーニングを組み合わせて行うことで、上半身全体の筋力や筋肉量を向上させることができます。自分のレベルや目的に合わせて、チャレンジしてみてくださいね!